3D-CAD パラメトリック機能を使うための有効利用方法 設計意図の新常識 わからない方は見てね。

どんなサイトや本にも載ってるからといって安心してはいけない!
パラメトリック機能を有効利用するポイント。意外と知られていないパラメトリックの活用ポイントを考えます。

 

参照関係の新常識!

本や、サイトなどでよく見かける、モデルの作成方法で親子関係や依存関係などの参照を「1本の数珠つなぎにするのはよくない」とか「参照先をベースのモデルとか基準平面に付けるのが良い」とか書かれていますよね。コレ


上記のモデルだと、2段目を変更すると「悪い例」の方でも変更された情報が一番上のモデルにも伝達されますが、「良い例」の方では、片側の2段目を変更しても、両側の一番上は変更されません。これでは、パラメトリック機能がだいなしですよね。前回使用したモデルでは、黄色い部分は青色のボディを参照していて、さらに青いボディは赤い部分を参照しています。まさに数珠つなぎの状態ですが、このようにしておかないと、赤い部分の板厚が変更された場合、黄色い部分の板厚が変更されませんし、青色の板厚が変更された場合黄色い部分の位置が移動することができません。


つまり、パラメトリック機能を活用するなら、あなたの設計意図通りに参照関係や親子関係を付けることが重要なんですよ。

これこそが、参照関係の新常識!

 

新時代のモデル作成順序!

モデル作成の順序も、本やサイトなどでは、モデル作成は加工順と同じ順序で作成するとよいと書かれていませんか?

この図面のモデルを作成します。
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材料はΦ28XSCM435X1メートルの調質材です。この形状なら剛性を考慮して旋削で1番の芯の部分を加工して、次に旋盤の回転工具でキー溝を加工しますよね。その後3番、4番と加工して突っ切りって感じですか。最後にΦ16部分に紙を巻いて端面加工で終了ですね。面取りは各箇所を加工したらその工程でおこないます。
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これって、加工順にモデリングすると大変なことになっちゃう。単にこの部品だけのモデルを作成するなら、4番→3番→1番→2番の順にモデルを作成して最後に面取りをすればいいだけです。または、回転フィーチャーを使って芯の部分は一筆書きで作成してもいいですね。加工順を重視して1番からモデリングすると都度面取りをしなければなりません。

切削の特性や材料の剛性を設計者がわかっていないと、加工順序がわからない。金属を切削するのは物凄い力がかかっているから、単純に先端から加工しちゃうとビレますよね。こんなことは、設計している人にはわかりませんから、加工順にモデルを作成するのは大変危険です。

重要なのは、あなたの設計意図にそったモデリングをするのが一番です。

これも、モデル作成順序の新常識です!

今までになかった原点選択基準!

3D-CADの場合は3つの平面が交差した部分が原点になります。


3D-CADの場合はモデル作成の最初に必ず原点を意識する必要があります、2D-CADのようにどこに線を引いても大丈夫と言う訳にはいきません。

正方形に寸法を入れてスケッチしても、どこにもくっついていないから、自由に動いちゃいます。ですから、モデル作成の一番最初は必ず原点と関連ずけしないといけません。ここで問題なるのが、最初のスケッチのどの部分を原点にいっちさせるかです。本などをみると、重心の位置を原点にするとか、相手の部品と接する場所がいいとか、回転部品の中心がいいなどと書いてあります。

重心部分の位置にモデルの基準点を原点に一致させるというのは、設計変更などや、最後までモデルを作成しないと、どこが重心位置なのかわからないから、無理なことが多い。この箱これから、リブが沢山ついて、どんどん重心位置が変更されます、今概略の状態で重心位置に吊金具の穴を空けましたが、これからどんどん重心位置が変わっちゃうから、モデルの最初に重心位置を基準点にするのは、全く不可能。


この箱の場合は、左右対称の部品が作成できますので、コストダウンを考えてモデルの中心部分が原点になっています。また、上下の高さが変更される場合を考慮して、底板部分を正面に一致させています。

 

回転部分の中心を基準点として原点に一致するというのも、かなり問題になることがあります。四輪車の場合はどうするのって話です。前輪の車軸を原点にしたら、後方の車輪軸は設計基準から外さなければなりません。

やはりここも、あなたの設計意図に合わせた原点位置を決める必要があります。

原点選択基準の新常識です!

今回は、本やサイトに掲載されている基準点選定よりも、あなたの、設計意図に合わせた基準点を原点に合わせた方が、後々問題が発生しても、すぐに対処できるというお話でした。

パラメトリックという最強の機能を使いこなすためには、あなたの設計意図がいかに重要かがわかります。本などに左右されないように注意しましょう。

主役はあなたです。頑張ってください!

今回はこれでおしまいです。

お疲れ様でした!

 

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